

ミステリー好きなら一度は読んでおきたい古典的名作。
映画版を先に見ておくとイメージがつかみやすい。
結末を知った上で改めて考えると、あの10人の中から犯人を選ぶとすれば、ウォークレイブ判事かブロア元警部・現探偵の二人が怪しいですね。
他人の知られざる犯罪を知り得る立場にいるのは、判事か警察関係者ですから。
真犯人のウォークレイブにしてみては、作戦遂行に一番邪魔になりそうな要注意人物はブロアというところでしょうか。
ブロアにもっと推理力があればウォークレイブを怪しいとにらんで現行犯で逮捕できたでしょう。
ところが見当違いの推理の連続で最後に餌食になってしまいます。
ブロアは推理力を武器にするタイプではなく、体力勝負のハードボイルドタイプだったのでしょうか。
一方、ロンバート大尉ははじめからウォークレイブが怪しいとにらんでいます。ブロアには想像力はないが俺にはあると大言壮語しますが、確かに推理力・直観力がある。
でもこれは結末を知っているから言えることであって、映画を見ている途中は(私は本作品は先に映画を見て知っていた)全然分からなかった。
真犯人であってもその場を仕切ったら犯人に見えないという筋運びのうまさというかライフハック。今後同じ立場になったら実行してみますか?
映画と違って最後に全員死んでしまってウォークレイブの手紙で真相が判明する。
確かに小説としては解決ですが、現実に実行可能かどうかと検証すると、難しいのではないでしょうか。
確かに最初の方は皆も油断してるだろうからうまくできるでしょうが、途中から皆も命がけで用心し出すと計画通りいかないでしょう。
特に海岸で寝ているマッカーサー将軍を誰にも知られずに殴り殺すのは難易度が高そう。絶対誰かに見つかると思います。部屋に海藻をつるすのも手際よくやらないともたつきます。お年寄りが必死で実行したんですね。もし見つかれば滑稽なシーンです。裏側から見れば喜劇になりそう。
三谷幸喜が『オリエント急行殺人事件』を犯人側から見たドラマを脚本していました。本作品も犯人側から描くとどうなるのでしょうか。半分狂った殺人鬼だからサイコホラー作品になるかもしれません。
そういえば『アクロイド殺し』の叙述について論争が起こったといいます。本作品でも、真犯人だと分かる行動や心理は描かれていません。10人平等公平に描かれず犯人の行動や心理があえて隠して描かれているのですから、実はアンフェアな描き方です。まあそういう論争が起こらないほど、クリスティの話運びや描き方そして着想が優れているということでしょう。
さて最後の3人の殺され方に至っては偶然の連続。ブロアが狙い通りの地点を歩いたりヴェラがロンバードを銃殺する保証もない。
しかも本事件では一人死ぬごとに人形一体壊さないといけないのだから、手際が悪いと見つかる危険性も増します。実際に実現可能かと検証すると、難しいのではないでしょうか。
つまりミステリーは、実現性にこだわり過ぎると推理がうまくいかない、そこら辺をファジーに考えるのが犯人を推理するコツといえるのではないでしょうか。
それで、ミステリー好きの人が集まった時に
「そして誰もいなくなった検証実験ごっこ」というのをやるのはどうでしょうか。
誰かのグラスに無害だけど味の変わる液体を誰にも知られずに入れることができるのかどうか、誰にも知られずに首すじを押すことができるのか、誰にも知られずに人形を壊すことができるのか、等々……。


[wikipedia:そして誰もいなくなった] [アンサイクロペディア:そして誰もいなくなった]ネタ・ヴァレー
【ネタバレ】 「そして誰もいなくなった」 アガサ・クリスティー
http://puripuriouch.at.webry.info/201208/article_2.htmlほんのむし
アガサ・クリスティー「そして誰もいなくなった」
アドレス長いオマージュを100%楽しむため『そして誰もいなくなった』は読んでおこう!
【アガサ・クリスティ】 - フォレストラバー
http://www.forest-lover.com/entry/and_then_there_were_noneミステリの祭典 そして誰もいなくなった
http://saiten.dip.jp/mystery/main/list_review/1158ブクログ
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