2015年03月24日

四国・坊っちゃん列車殺人号 ネタバレ感想会

20150326065836.jpg 四国・坊っちゃん列車殺人号 (光文社文庫)
   ★四国・坊っちゃん列車殺人号


『四国・坊っちゃん列車殺人号』について、登場人物やあらすじや感想などを書きました。

SF KidなWeblog
 四国・坊っちゃん列車殺人号
  http://sfkid.seesaa.net/article/416187941.html
  
 このブログでは、ネタバレに関わる部分について検討していきたいと思います。
 決して、尊敬する辻真先先生の作品にケチをつけようという意図ではありません。
 尊敬するからこそ読む機会も多くなり、必然的に検討対象になることも多くなるということをお許し下さい。
  
 以下、ネタバレなので、ネタバレが嫌な方はご注意下さい。


 

  
 まず、第一の殺人・赤シャツ殺害についてです。
 この殺害動機について、説明不足と思いました。
 協力者も多数存在し、かなり大掛かりなトリックです。
 この協力体制を構築できるまで、虎視眈々と狙っていて、ようやくこの時になって実行のめどがついた、ということなのでしょうか。
 また、この犯行を行うことで、結果的に山嵐と赤シャツにおける金銭トラブルを亡きことにし、山嵐を側面支援することになりました。
 犯人はそれも狙っていたのでしょうか。しかし、山嵐のプライベートな金銭トラブルまで把握していたとは思えないのですが。

    
 タヌキが坊っちゃん列車で死んでいるという写真のトリックについて。
 坊っちゃん社長の寝室を使ったということで、一人居る管理人の目を盗んで忍び込んだという説明なんですが、そんな簡単にできるもんでしょうか?
 それに、犯人は、なぜ社長の寝室が坊っちゃん列車の趣向だと知っていたのでしょうか?
 というか、タヌキを尾行したら成り行きで寝室に入っていた、ということなのでしょうか?

 
 次に、本作品の構造について検討したく思います。
 辻作品は、作者が犯人だったり読者が犯人だったり、作品が入れ子構造となっていたり、メタな構造が演出されていることがよくあります。
 本書も、「途中下車」として、瓜生慎の高校生の息子・竜(ミステリー作家志望)が、作品の構想を練っているシーンが挿入されています。
 それでは、本書は、瓜生竜が執筆した作品なのでしょうか。
 辻作品なら以前もそんな例があったのでそう思ったわけです。
 ところが、最後まで読むと、そうでもないような雰囲気。
 瓜生竜が練っていた作品構想と本作品は、別個のようです。
 では、何でこんな「途中下車」シーンが挿入されたのでしょうか。
 本書を見ると、目次の次に、見開き2ページで

 
主要人物(登場順)

 
が紹介されています。
 この(登場順)というのが曲者のようです。
 瓜生竜が練っていた構想と合わせてみると、本書を読む読者に、犯人を推理する重大なヒントとなっています。
 つまり、作者から読者へのヒントというか挑戦状というか。
(書いてしまった!ネタバレブログなのでお許し下さい。)

   
 最後に、2人の人が殺害されたこの事件は、結局どう処理されたのでしょうか。
 瓜生慎は推理結果を警察に報告したのでしょうか?
 夕刊サンはここぞとばかり、大々的に報道したのでしょうか?
 そして犯人の心情をおもんぱかることなく、高校生の瓜生竜が挫折知らずの蛮勇・自己顕示欲・名誉欲・功名心むき出しで、恋人・中沢うずらとの旅行ついでに証拠物件を探し出してくる。
 まだ若くてこれから可能性のある未来が開けていて、挫折を知らないので怖いものなしです。
 そんなところが、やさしさに欠ける原因でもあります。
 このまま挫折を知らずに成長していけば、どんな鼻持ちならない人間に育つのでしょうか。
 今は犯人捜しをゲーム感覚・獲物を狩る感覚で楽しんでいるのでしょうが、今後人生を経験していくにつれ、犯人にも色々な過去・色々な人生があったということに思いをはせられる人間性を学んでいってほしいものです。

 
 そして真犯人はあっけなく死亡が伝えられますが、もしこの死亡事件がなかった場合、瓜生慎は警察に証拠物件を提出したのでしょうか。


20150326065836.jpg 四国・坊っちゃん列車殺人号 (光文社文庫)
   ★四国・坊っちゃん列車殺人号

 
  [wikipedia:辻真先]

 

かずまるのblog
 四国・坊っちゃん列車殺人号
  http://kazmal.blog.eonet.jp/default/2014/08/post-e19c.html
雑読雑感 本の感想 4111〜4120
  http://www.cwk.zaq.ne.jp/fkdrn906/reguls/book/b_4111.html

 
辻真先ミステリワールド総合案内所(建設中)
 トラベルライター瓜生慎シリーズ
  http://www31.atwiki.jp/h-yamato3/pages/43.html

 
■[日々の冒険]贋作『坊っちゃん』殺人事件 の暗澹
  http://d.hatena.ne.jp/nazegaku/20140207/p1
■[名作文学]【百年読書会】『坊っちゃん』その後おれはうらなりになった
  http://d.hatena.ne.jp/nazegaku/20090709/p1

 
ブクログ http://booklog.jp/item/1/4334746713
読書ログ http://www.dokusho-log.com/b/4334746713/
読書メーター http://bookmeter.com/b/4334746713


  
 ☆SF Kidの本棚……睡眠開発BOOKS!
   http://www.g-tools.net/17/26612/index.html

   ★ミ ★ミ ★ミ ★ミ ★ミ ★ミ ★ミ

 ☆SFを考え、過去を考え、未来を考える
   20世紀少年少女SFクラブ
   SF KidなWeblog
   少年少女・ネタバレ談話室
 ☆睡眠を開発して成功しよう!
   睡眠開発計画weblog
 ☆相互紹介
   OLDIES 三丁目のブログ
   ありゃま商会 の回覧板
   『三四郎』な人生論
タグ:辻真先
posted by SF Kid at 21:23| Comment(0) | TrackBack(2) | 探偵小説
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

この記事へのトラックバックURL
http://blog.sakura.ne.jp/tb/115635368

この記事へのトラックバック

[名作文学]うらなり
Excerpt:   うらなり (文春文庫)    昭和9年、銀座四丁目で古賀先生(うらなり)は堀田先生(山嵐)と再会する。  カフェでお互いのその後や近況を交換し、古賀先生は帰宅後、寝る前に今までの人生を振り返る。..
Weblog: OLDIES 三丁目のブログ
Tracked: 2015-04-04 09:21

[日々の哲学]『うらなり』で考える日本人の国民性
Excerpt:   うらなり (文春文庫)   うらなり先生の視点から見たもう一つの『坊ちゃん』こと、『うらなり』について感想を述べました。 ■[名作文学]うらなり先生の見た坊っちゃん http://d.haten..
Weblog: OLDIES 三丁目のブログ
Tracked: 2015-04-05 20:35