2016年05月27日

【屋根裏の散歩者】天井裏から毒薬/【芋虫】幽体離脱

江戸川乱歩館 TOWN MOOK TOKUMA大活字マガジン VOL.5
に収録された
【人間椅子】【お勢登場】【押絵と旅する男】
について、別のブログで書きました。

 
  http://d.hatena.ne.jp/nazegaku/20160526/p1

   
 当ブログでは、残る『屋根裏の散歩者』『芋虫』について思ったことを、ネタバレありで書いてみたいと思います。
  

【屋根裏の散歩者】
 まるで古畑任三郎ですね。
 犯罪者の犯罪を先に描いて、後から探偵が推理するという倒叙物。
 しかし、いくら梁の上を歩いているとはいえ、大人の人間が屋根裏を動いていると分かるでしょう。
 時代劇でも忍者が天井裏から下を覗くシーンがありますが、そんなことできるのか不思議です。
 この作品を映像化した場合、その辺をどう処理しているのか興味深いところです。

   
 そして、自殺したはずの遠藤が翌朝に目覚まし時計をかけていた点について。
 明智小五郎はそこが引っかかった、と言っていました。
 普通の人なら見逃す点に気付くのが名探偵の素質ならば、私なら名探偵失格ですね。
 私なら、自殺する翌朝に目覚ましが鳴るのは当然だと思います。
 普段から死を身近に考えている私が自殺者の立場で考えてみます。
 その夜、自殺するつもりはなく、従って翌朝起きるつもりで目覚ましをセットしたのです。
 ところが、横になって過去のことをうだうだ思い返しているうちに、段々と絶望的になっていき、発作的に自殺する気になったと。
 自殺する異常な状態では、目覚まし時計を止めていることなど思いもよらなかったと。
 或いは、几帳面な私としては、腐乱した状態で死体を発見されるのは忍びない。翌朝の死にたてのほやほやの新鮮で綺麗な状態で発見されてほしい。
 だからあえて目覚まし時計をセットして誰かに気付いてほしかったと。

  
 明智小五郎の謎解きは終わりに短く収録されているだけなので、よく読めば、粗があるような気がします。
 明智小五郎が屋根裏の散歩ルートを発見したというのも変です。
 遠藤の部屋からは屋根裏に入る入り口はないという設定でした。
 なぜ明智探偵は屋根裏ルートを思い当たったのでしょうか。
 当時は下宿屋ではこういう構造が一般的で広く知れ渡っていたのでしょうか。
 そうとしたら、逆に無用心です。
 本作品発表前はもとより、発表後に似たようなことをする人はいたのでしょうか。(上に書いたように、多分、屋根裏を移動していれば一目瞭然なので現実にはできない。しかし、住人不在時ならありえるか。)
 それはともかく、明智探偵は実際に屋根裏散歩を実行したようですが、管理人に頼んで別の部屋から屋根裏に上がったのでしょうか。

  
 そして、肝心のトリック解明は、どうしたのでしょうか。
 天井裏の穴から毒薬を落とすなどと、普通なら考えられない不確定な方法です。
「二階から目薬」ということわざがありますが、「天井裏から毒薬」です。
 まあ、補完解釈すると、死体の口の位置の上を見ると穴が開いていた、ということが突破点なのでしょうか。この件は文中に入れて頂きたかったという気がします。


  [wikipedia:屋根裏の散歩者]


砂手紙のなりゆきブログ
名探偵って嘘ついてもいいの?(「屋根裏の散歩者」)
  http://sandletter.hatenablog.com/entry/2014/03/08/183535


【芋虫】
 これは陰惨な地獄絵図です。
 発表当時、反戦小説と受け取られて色々あったそうです。
 確かに反戦的と受け取られても仕方ない内容だと思います。
「小説解説」(文 山前譲)において、山前さんは『ジョニーは戦場へ行った』を引き合いに出して「まったくの的外れではなかったと言えるだろう」と書かれています。
 最後、須永中尉は「ユルス」と書いて失踪します。
 彼はどこに行くつもりだったのでしょうか。
 よく考えると、この辺、自然ではなく脚色があるように思えます。
 彼らがこの家に来たのは、彼が負傷した後からのことなので、家の間取りや周囲の状況を知るはずないのです。
(未だ健康な時期、偶々上官の家を訪れて知っていた、という可能性もあるが)
 不自由な体で視力も失った須永中尉にとって、階段を下りて家から出るまでの苦労は並大抵のものではなかったはずです。
 さらに、庭に古井戸があることも知らないはずです。
 苦労して庭に出た須永は庭を彷徨い、偶然井戸に落ちる場面を時子と鷲尾老人に見られたということなのでしょうか。
(スピリチュアルの観点から考えると、感覚が鋭くなって幽体離脱して古井戸を知った、という解釈も可能か?)

  
 そして、その後、時子はどうなったのでしょうか。


  [wikipedia:芋虫 (小説)]
  [wikipedia:乱歩地獄]
  [wikipedia:キャタピラー (映画)]


sanmarie*com 江戸川乱歩の『芋虫』〜老人介護を想う
  http://sanmarie.me/imomushi/
「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2010年10月号
 乱歩『芋虫』から「キャタピラー」へ
  http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/prdl/jsrd/norma/n351/n351022.html

 
(勝手に非公式アンケート作成しました。回答ご協力お願いします。)
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タグ:江戸川乱歩
posted by SF Kid at 20:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 探偵小説
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