2016年12月13日

脳質学派と体液学派 闘争 小酒井不木

青空文庫 図書カード:No.1459 闘争 小酒井不木
  http://www.aozora.gr.jp/cards/000262/card1459.html
   http://www.aozora.gr.jp/cards/000262/files/1459_20558.html



 大学の医学部精神医学科が舞台。背景には、日本精神病学界の双璧である毛利博士と狩尾博士との対立がある。
 毛利博士はドイツ医学の流れを組んで「脳質学派」を代表し、狩尾博士はイギリス・フランス医学の流れを組んで「体液学派」を代表していた。


脳質学派
 人間の精神状態を脳質によって説明する
 精神異常は脳質に変化が起ってはじめてあらわれるのであって、脳質に変化の起らない限り、即ち、精神病的徴候のあらわれない限り、暗示によって殺人を行わせるごときは絶対に出来ぬと

体液学派(内分泌派又は体質派)
 人間の精神状態を体液ことに内分泌液によって説明する
 すべての精神異常は体質によって定まるものであって、しかも体質なるものは目下のところ人力で之これをいかんともすることが出来ない。

 本作品で自殺する実業家北沢栄二は「胸腺淋巴体質」で、「自殺者に殆んど常に見られる体質」ということです。

 
 本作品が描かれた当時、精神医学会でこのような脳質学派と体液学派の対立があったのかどうか、検索してもよく分かりません。
 現在の視点から見ると、精神医学はやはり脳質の問題で、体液学派なんてあり得ないと思うのですが。

   
 精神医学とは違って、心理的なタイプと体質や体液の分類はあったようです。


  [wikipedia:四体液説]
  [wikipedia:エルンスト・クレッチマー] 

  
 それで、この両派の意見の勝敗は、現実に人間で実験してみないと分からないということになって、トンデモナイ事件が発生するのです。
 実験する方もいい加減マッドですが、それを見破った方もマッドです。真実を警察に伝えず、犯人を見逃したのですから。
 しかし、探偵役の方が見逃さずに警察に通報するという選択もあり得るのですから、犯人の方はその可能性を考えなかったのでしょうか。
 ここら辺、二人のマッドサイエンティストの心理は不可解です。

  
 作者の小酒井不木は生理学の大家だったのですが、この作品では精神医学の教室が舞台です。精神医学はミステリに向いているぞと思って書かれたのでしょうか。もし長命だったら、その後も書かれたのかもしれません。
 そしてこの物語は、毛利博士の部下の涌井君が友人のK君に送った手紙という書簡体で書かれています。
 このK君というのは、小酒井不木のイメージなのでしょうか。


怪奇探偵小説名作選〈1〉小酒井不木集―恋愛曲線 (ちくま文庫)
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小酒井 不木 日下 三蔵

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Enpedia:エンペディア 闘争
  https://enpedia.rxy.jp/wiki/%E9%97%98%E4%BA%89


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タグ:小酒井不木
posted by SF Kid at 06:43| Comment(0) | TrackBack(1) | 探偵小説
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