2017年02月12日

『闇からの声』フィルポッツ ネタバレ検討会

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  井内雄四郎・訳  石垣栄蔵・カバー
   ★1967年3月 初版 旺文社文庫  


(あらすじ)
 引退した名刑事リングローズが息抜きのためにとある田舎のホテルに宿泊したところ、夜中に子どもの幽霊の声がして目が覚める。
 長期滞在の老婦人に1年前に起こった事件を聞かされ、犯罪を確信したリングローズは調査に乗り出す!
  

【以下、ネタバレ感想&ネタバレ検討】(ネタバレ注意)

  
 老婦人から事件を聞かされたリングローズは、遺産相続に絡む犯行を確信。
 最初から犯人が分かっているわけです。
 この物語は、リングローズが体当たりで潜入捜査する過程が読みどころです。
 いわば、スパイアクションというか、必殺仕置き人というか。
 しかしリングローズの行う捜査方法は、ストレスたまりそう。
 コミュニケーションがうまくて人に好かれるのが特技なリングローズは、定めた敵に友人を装って接近します。
 相手が心を開いて良い友人になったと思ったら裏切って相手を破滅させます。
 コミュ障で友達がいない私にとっては、うらやましいというかひどいというか。
 私には友人がいないだけに、折角できた友人をこんな風に裏切ることは絶対にできないな。

  
 目指す敵はバーゴイン・ビューズ(ブルック卿)とその従者アーサー・ビットン老人。
 リングローズに弄ばれるビットン老人が気の毒になりました。
 しかしビットンとは変わったファミリーネームです。ゼットンなら強そう。ボットンなら笑うところです。
 このビットン老人の破滅まで、半年間もかかっています。
 シャーロック・ホームズのような天才型探偵なら、
「時間をかけ過ぎだ」
と批判しそう。
 しかし、本当の敵・ブルック卿との対決は読みごたえあります。
 ブルック卿は単なる象牙細工の収集狂なのですが、その知恵を本気に犯罪に向けたならば、『ルコック探偵』に登場するメイ、或いはアルセーヌ・ルパン、或いはモリアーティ教授のような大犯罪者になり得る素質を持っています。
 リングローズとブルック卿の対決は、まさに狐と狸の化かし合い・知恵比べです。


■[名作文学]ルコック探偵尾行命令(ネタばれ注意!)
  http://d.hatena.ne.jp/nazegaku/20120106/p1
↑ルコック探偵を知らない方のために過去記事をリンク。

 
 リングローズが最初からブルック卿を犯人だと見破ったように、ブルック卿もリングローズの最初の潜入捜査の最後の時点で疑いを持ちます。これはリングローズの失態にもよるのですが。
 ブルック卿は写真を隠し撮りしてリングローズの正体を見破ります。
 ここで危機感を持ったブルック卿としては、過去の犯罪の証拠・証人の隠滅を考えるはずです。
 ということは、舞台となったホテルにいた証人である二人の老人の抹殺を考えなかったのでしょうか。

  
 また、「鷲の食料室」でのリングローズとブルック卿の対決の際、ブルック卿はリングローズを毒殺しようとします。
 毒入りの赤葡萄酒をリングローズは1杯目はハンカチにあけ、二杯目はズポンのポケットにあけ、三杯目は地面にあけます。
 仮にこれらのことをブルック卿に知れないようにうまくやったとして、その後はどうなるでしょうか。
 ハンカチやズボンは防水加工してあったのでしょうか。ハンカチもズボンのポケットに入れたということですが、普通ならそんなことをすればズボンがびちゃびちゃに濡れてブルック卿も変だと気付くのではないでしょうか。
 サンドイッチも毒が入っている恐れがあるので捨てたということですが、ブルック卿は事が終わってから周囲の地面を調べています。その時に変だとは思わなかったのでしょうか。
……ということで、この辺の記述は、物語としてはよくできていますが、現実を考えると、少し変ではないでしょうか。
 まあその辺追及しましたが、本書の価値を下げるものではありません。

  
 最後に、リングローズが夜中に聞いた幽霊の声のあっと驚く真相が判明!
 これは分からなかった。私としては絶対に幽霊としか説明がつかないと思っていましたが、まさかこのようなことが!
 この真相が分かる方は、ミステリーを読み慣れた方ではないでしょうか。
 検索すると、この幽霊の声のトリックについて、「予想がついた」「バカにしている」と批判している方もおられます。
 単純に「すごい!」と驚くことができる私は単純過ぎるのでしょうか。しかしこのレベルなら、どんなミステリーを読んでも楽しめます。

  
 ところで、本作品では、ドレスデンのバルテルという彫刻家の象牙細工が重要な証拠品となります。
 検索してみると出てこないので、これはこの作品内の架空の人物・架空の作品なんでしょうか。


 しかし本作品について検索すると、
『赤毛のレドメイン家』より面白かった
という感想がちらほら見られます。
『赤毛のレドメイン家』は、本格推理小説として、江戸川乱歩も高く評価していたとか。
 それでは『赤毛のレドメイン家』も読まないといけないのう。


闇からの声 (創元推理文庫)闇からの声 (創元推理文庫)
イーデン フィルポッツ Eden Phillpotts

赤毛のレドメイン家 (創元推理文庫 111-1) だれがコマドリを殺したのか? (創元推理文庫) 溺死人 (創元推理文庫) あなたは誰? (ちくま文庫) 二人のウィリング (ちくま文庫) 赤い館の秘密 (創元推理文庫 (116-1)) 貴婦人として死す (創元推理文庫) まるで天使のような (創元推理文庫) 灰色の部屋 (創元推理文庫) 新車のなかの女【新訳版】 (創元推理文庫)

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  [wikipedia:イーデン・フィルポッツ]


Aga-Search イーデン・フィルポッツ(ハリントン・へクスト)(Eden Phillpotts)
  http://www.aga-search.com/writer/eden_phillpotts/


有沢翔治のlivedoorブログ
 イーデン・フィルポッツ『闇からの声』(東京創元社)
  http://blog.livedoor.jp/shoji_arisawa/archives/50641651.html
文藝yaminave 〜なんてったって文弱!〜
『闇からの声』
  http://blog.goo.ne.jp/nuta1980/e/bdddb14cc03f6800d57f656e05bc2bfa
「ミステリの祭典」ミステリの採点&書評サイト
[サスペンス]闇からの声
  http://saiten.dip.jp/mystery/main/list_review/2549


  [wikipedia:闇からの声]


The House of Terror
日本ドラマ化の研究 闇からの声
  http://park6.wakwak.com/~kazy/study/yamikoe01.html


ブクログ
  http://booklog.jp/item/1/B000J8U1JI
  http://booklog.jp/item/1/4488111025
  http://booklog.jp/item/1/B000JAIIJG
  http://booklog.jp/item/1/4150002436
読書メーター
  https://elk.bookmeter.com/books/1241134
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posted by SF Kid at 17:16| Comment(0) | TrackBack(0) | 探偵小説
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