2017年04月23日

三狂人 大阪圭吉 ネタバレ検討会

青空文庫 図書カード:No.1266 三狂人 大阪圭吉
  http://www.aozora.gr.jp/cards/000236/card1266.html
   http://www.aozora.gr.jp/cards/000236/files/1266_34390.html


 私設のこじんまりした精神科病院が舞台。
 経営者が三代目となり、経営が左前になって患者さんが三人になってしまった。
 ツイッターを見てみますと、廃墟愛好家だとか廃病院愛好家という方々がいますが、そういった方々にとっても興味深い舞台だと思います。本作品を映像化するとどうなるのでしょうか。

  
(以下、ネタバレ注意!)

 


 さて、本作品のトリックは人の取り換え・すり替えです。
 短いながらもよくまとまった名品ですが、小説だからこそ成り立つトリックではと思います。
 これはケチをつけているのではなく、色々な面から現実的に検討することが私のクセであるからして申し訳ありません。

  
 本作品では、
赤沢院長
患者A(トントン)
患者B(怪我人)(全身包帯男)

  
の3人のすり替えが行われます。
 赤沢院長の死体だと思われていたものは実はトントンの死体で、院長は全身包帯に包まれて怪我人に化けていたと。

 
 つまり、


赤沢院長 → 怪我人
患者A(トントン) → 赤沢院長
患者B(怪我人) → トントン

 
に偽装されていたと。
 これは小説だから成り立つのであって、現実に行おうとしてもうまくいかないと思われます。
 人間の感覚はそう馬鹿にできないもので、いくら全身包帯に包まれても中身が変われば違和感あるはずです。声も違うし。
 トントンの死体を院長に間違えるとか、怪我人の死体をトントンに間違えるとか、いくら当時でもあり得るのでしょうか。
 頭が潰されていて服が変わっていたので分からなかったと説明されていますが、現実には無理でしょう。


 結局、探偵役の松永博士が見破って解決します。
 図らずもその松永博士が言っています。


「そうだ、あれは、先に病院で『怪我人』の方を殺して、線路のところで『トントン』を殺すと、完全に成功しましたよ。」

  
 そうなのです。つまり、

 
赤沢院長 → 怪我人
患者A(トントン)
患者B(怪我人) → 赤沢院長

 
と、2人だけ入れ替えていれば良かったのです。
 何で3人を入れ替えるのかのう。
 まあトリック破りなど物語進行上の都合もあるのでしょうが。
 ここは、当初は二人入れ替えを行うつもりだったが何らかの手違い・事故のために先にトントンを殺害する羽目になった。仕方ないのでそのまま人間すり替えを強行した、という内幕を想像しておけばいいのでしょうか。


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posted by SF Kid at 08:22| Comment(0) | TrackBack(1) | 探偵小説
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