2018年01月18日

『怪盗紳士ルパン(偕成社文庫版)』ネタバレ感想



 アルセーヌ・ルパンの第一作品集『怪盗紳士ルパン(偕成社文庫版)』のネタバレ感想です。


 
「ルパン逮捕される」
 デビュー作品で逮捕されるというそれだけでもすごいのに、それを上回るどんでん返しが待っています。アンチルパン派だと思い込んでいた私もこれですっかりルパン作品の面白さにはまってしまいました。
 1926年に発表されたクリスティ『アクロイド殺し』は論争を起こしたといいます。ウィキペディアを見ると、このトリックは1917年にも先例があるという。しかし「ルパン逮捕される」は1905年に発表されたものなのです。
 
 ルパンがジャーランド夫人の宝石を盗んだトリックは?これはメインテーマではないからスルーするところか。
 ガニマールは下船する船客の中から一目でルパンを見分けます。ガニマールはルパンの素顔を知ってるのか、或いはルパンが変装していることはあり得ないのか。その辺も深く突っ込むことはやめておきましょう。
 
少年少女・ネタバレ談話室(ネタばらし注意!)
『アクロイド殺害事件』ネタバレ感想
  http://sfclub.sblo.jp/article/180108622.html
  
「獄中のアルセーヌ=ルパン」
 見事なトリック。ルパンの影武者としてガニマールに化けた部下は名前が出ていないがすごい。こんな有能な部下がいるとは、ルパン帝国はこの時点で既に大きな勢力となっているようです。
 しかし人付き合いのないカオルン男爵の城の内部をなぜルパンが知っているのか。その辺は疑問に思ったらきりがない。
  
「ルパンの脱獄」
 獄中のルパンがどうやって部下や新聞社などとコンタクトを取っているのか。本作品ではトリックの言及はありませんが、『813』で説明されていました。
 ルパンが脱獄に使ったトリック。こんなことが本当に実現可能かどうか分かりませんが、面白い。ガニマールも騙されてしまった。
 ルパンデビュー前の将来を見据えた研究についても描かれています。
 シャーロック・ホームズは科学の知識がありましたが、ルパンもあるのですね。科学発展の時代背景だから探偵も泥棒も科学の知識が必要だったのでしょう。
 
「ふしぎな旅行者」
 列車の個室でルパンが縛られて大切な書類を盗まれる。ルパンが探偵となって犯人を追う展開。
 こんな展開もあるんですね。バラエティに富んで面白い。
 一度でもルパンを出し抜いた犯人も天晴れ。
 
「女王の首飾り」
 ルパンの子ども時代とその母親が描かれる。
 没落貴族のドルー・スピーズ伯爵家から大切な首飾りが盗まれる。
 容疑者となった同居人アンリエットとその一人息子ラウールは追い出されるが、これこそがルパン母子だったのだ。
 栴檀は双葉より芳し。実はラウールが盗んでいたのである。
 成長したアルセーヌは自分たちを追い出した伯爵夫妻に皮肉を言いに来る。
 しかしよく考えれば、ラウールが首飾りを盗んだりしなければ追い出されなかったはずだから、自業自得というものではないでしょうか。
 伯爵夫人は生活が苦しいのに未亡人となった修道院時代の旧友を同居させてくれているのだから、恩を仇で返したようなものです。
「夫人はこの彼女に対して、たいへんにきびしい態度で接していた」
という記述があるので、日頃から母親をいじめる伯爵夫人をこらしめるつもりだったのだろうか。
 もちろんアンリエットが一番の被害者なのですが、私は伯爵夫婦も気の毒だと思います。
 
気まぐれ感想文 「王妃の首飾り」その2
  http://terikan.exblog.jp/11044368/
↑あのたった1行の記述からドルー・スビーズ伯爵夫人とアンリエットの関係を想像されています。
なるほどそこまで行間を読むことが必要なのか。
私などまだまだ未熟者だ。
   
「ハートの7」
 からくり仕掛けの隠し金庫の謎は仏独両国の軍事機密も絡む国際的事件だった!
 ルパン物語の語り手「わたし」とアルセーヌ・ルパンが知り合った事件。
 ルパンが変装したダスプリさんは庭を掘ってマスターキーとなるトランプ状の鉄のカードを発見します。
 しかしこれがなくてもトランプで代用できるみたい。
 ただ、大きさが違うと合わないので大きさは合ってる必要はあります。
 当時のフランスのトランプは大きさが規格化されていたのでしょうか。
 
wikipedia:ハートの7
  https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8F%E3%83%BC%E3%83%88%E3%81%AE7
 
「アンベール夫人の金庫」
 ルパンの初仕事。
 ルパンにもこんな時代があったのだ。
 
「黒真珠」
 アンジロ伯爵の未亡人が持つ黒真珠を盗みに来たルパンだが、一足遅く未亡人は殺され、黒真珠は盗られた後だった。ルパンが探偵役となって犯人から取り返す物語。
 ルパンは探偵としても有能だと分かるエピソード。
 しかし私は一つ納得いかないことがあります。
 伯爵未亡人は経済的困窮に陥っていて黒真珠だけが唯一の財産なのです。そんな人から唯一の財産を盗むのは怪盗紳士のイメージに合わない気がします。
 ルパンが盗むのは本当の悪人だとか財産が有り余っていて盗難後も暮らしていける人の類いであってほしいと思います。
 
「おそかりしシャーロック=ホームズ」
 ドイルが創作したキャラが客演。うまくできている。
 財宝をせしめたルパンだが、ネリー嬢に見られたために返却する。
 本作ではこの謎についてホームズは説明していないのですが、その後の捜査で分かったのだろうと思います。
 なお、ルパンはホームズの懐中時計を失敬し、後で返却します。小説や映画などでよく懐中時計や腕時計を取るシーンがありますが、こんなこと物理的に可能なんでしょうか。現実に自分が体験しないと信じられない気分です。

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■[名作文学]怪盗紳士ルパン 偕成社文庫版
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posted by SF Kid at 20:48| Comment(0) | TrackBack(0) | 探偵小説
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