2018年09月27日

辻真先『アリスの国の殺人』ネタバレ検討会


 装幀 高麗隆彦
 装画 辰巳四郎

  

   
 児童文学の出版社に勤める青年・綿畑克二が夢の世界と現実世界で遭遇する事件を交互に描く。
 夢の世界の事件は『不思議の国のアリス』やマンガのキャラクターが登場するメルヘンチックなもの。
 現実世界の事件はバー「蟻巣」が舞台になっていて、主要の脇キャラ達は平和的にのんびりやっていていい雰囲気なのですが、発生する事件は悲劇的なものです。
 文字の組み方が凝っていて面白い。
 時々挿入されるイラストは、テニエル風でニャロメやヒゲオヤジなども登場する面白いもの。


 辻真先さんの作品は構成が凝っていて結末がどうなっていくのかセンス・オブ・ワンダーを感じて面白いのですが、描かれている事件は陰惨なのです。
 神経の弱い私などには殺人も陰惨な事件も起こらない“日常の謎”系の方が合っています。

 
 「閃輝暗点」は統合失調症の前駆症状と描写されています。

 
  [wikipedia:閃輝暗点]

 
 主人公は統合失調症を発症して陰惨で悲劇的な結末を迎えます。
 私は中学3年の頃に気分障害(感情障害)を発症して対応を誤ってこじらせ、そのまま改善することなく人生を棒にふりお家断絶の憂き目にあいました。
 私も完全に発狂して理解力がなくなれば過去や先行きに悩まなくて済んで楽になれるのでしょうか。
 しかし親の心配を考えれば気分障害の方がましか。


(以下、ネタバレ検討)

 
 ところで、獏谷らむと明野重治郎がもみ合ううちに明野が持った包丁が明野の背中に刺さってしまった、ということですが、状況的におかしくはないでしょうか。
 立場が上の明野が包丁を持ってらむを説教し、らむは恐れて逃げようとしている状況なのだから、普通に考えると明野がらむを刺す可能性の方が高い。
 それに、もみ合うのなら包丁は身体の前面に刺さるのが普通で、背中に刺さるのはどう考えてもおかしいと思います。


 綿畑克二の証言に補助線を引いて事件を推理する“名探偵”が登場するのですが、余りにも凄すぎます。
 余りにも名推理過ぎて、霊感や超能力を思わせるほどです。
 辻作品に登場するキャラの中でもトップレベルの推理力を持った安楽椅子探偵だと思います。
 この方、後の作品で再登場するのでしょうか?

 
 作品自体は確かに伏線も回収されていて、改めて読み返せば納得できると思います。
“読者に挑戦”が成立していると思います。
 他の方の感想を読むと、大したことないトリックだと書いていた方がおられましたが、
 私が思うには、余りにも想像を絶するトリックなので、非常に難度が高いトリックだと思います。
 まだ未読でトリックを知らない方が推理できるか、挑戦してもらうと面白いかもしれません。

 
odd_hatchの読書ノート
 辻真先「アリスの国の殺人」(双葉文庫)
  http://d.hatena.ne.jp/odd_hatch/20111026/1319579586
読書日記もどき
 辻真先『アリスの国の殺人』双葉文庫
  http://leserkommentar.blog6.fc2.com/blog-entry-18.html
らふりぃの読書な雑記
 126) 辻真先 「アリスの国の殺人」
  https://ameblo.jp/handledroughly/entry-11320382545.html
TAIPEIMONOCHROME
 アリスの国の殺人 / 辻 真先
  http://old.taipeimonochrome.com/?p=371
yoshir's room "Archaeological Mathematics"
 辻真先『アリスの国の殺人』双葉文庫 1997年
  http://www.minc.ne.jp/~yoshir/yoshir/novel/alicenokuni.html
本の青縁眼鏡
  辻真先『アリスの国の殺人』(大和書房)
日本推理作家協会賞受賞作全集第42巻
『アリスの国の殺人』辻真先
  http://www.geocities.jp/hyouhakudanna/comp/kyoukai42.html
山本弘のSF秘密基地BLOG
『僕の光輝く世界』文庫化
  http://hirorin.otaden.jp/e440186.html
辻真先ミステリワールド総合案内所(建設中) - 蟻巣オールスター #atwiki
 https://www31.atwiki.jp/h-yamato3/pages/22.html
「蟻巣」閉店 長年のご愛顧、ありがとうございました
 辻真先『残照 アリスの国の墓誌』発売中[2016年6月]|今月の本の話題|Webミステリーズ!
  http://www.webmysteries.jp/topic/1606-03.html


辰巳四郎画伯の幻の単行本版の挿絵。5枚ありますがそのうちの2枚を紹介。
  http://f.hatena.ne.jp/nazegaku/20180924111222
  http://f.hatena.ne.jp/nazegaku/20180924111241


ふしぎの国のアリス (世界名作ものがたり (2))
↑辻真先さんがリライトされた版。朝日ソノラマ刊(1983/01)


  [wikipedia:辻真先]
  [wikipedia:辰巳四郎]


ブクログ
  https://booklog.jp/item/1/B000J7Z55E(1981年単行本)
  https://booklog.jp/item/1/447956005X(1986年新書)
  https://booklog.jp/item/1/4195691052(1990年徳間文庫)
  https://booklog.jp/item/1/4575658391(1997年双葉文庫)
読書メーター
  https://bookmeter.com/books/136727(1981年単行本)
  https://bookmeter.com/books/11154766(同上)
  https://bookmeter.com/books/21663(1986年新書)
  https://bookmeter.com/books/2416(1990年徳間文庫)
  https://bookmeter.com/books/370172(1997年双葉文庫)
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タグ:辻真先
posted by SF Kid at 06:42| Comment(0) | TrackBack(0) | 探偵小説
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