2018年09月29日

コスプレ探偵・畔柳博士@江戸川乱歩『蜘蛛男』(ネタバレ注意!)

蜘蛛男 (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書)
蜘蛛男 (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書)

  

  
 明智小五郎が海外旅行で日本を留守にしていた頃。
 巷を騒がせる蜘蛛男と呼ばれる凶悪犯がいた。
 それを追うのは法医学者であり犯罪学者であり素人探偵でもある畔柳友助博士!
 畔柳博士は“日本のシャーロック・ホームズ”と紹介されています。
 野崎三郎青年を助手に活躍する義足の学者探偵!
 乱歩には明智小五郎以外にもこんな探偵もいたのですか!
 明智小五郎がエラリー・クイーンならば畔柳博士はドルリー・レーンだ!
 存在自体がコスプレをしているようなキャラの立った畔柳博士は明智小五郎よりも読んでいて面白い感じがします。
 一生懸命なのですが一歩至らず蜘蛛男に出し抜かれてばかりいる畔柳博士を応援していたのですが……。
 何と畔柳博士はドルリー・レーンどころか、乱歩版・フレデリック・ラルサンだったのでした。

   
 ところで、その後野崎三郎青年はどうなったのでしょうか。
 小林少年が明智探偵の助手として登場したのは1930年の『吸血鬼』が最初だとか。
 それに先立つ1929年の本作品に野崎青年が登場しています。
 野崎青年は小林少年の原型だったのですね。
 なお、野崎三郎という名前の画家が1926年の某作品に登場するようで、「乱歩の鳥羽造船所時代の同僚の名前をそのまま流用したもの」だそうです。
 野崎三郎は江戸川乱歩版・田北鑑生だったのですね。

    
 巻末解説は山口雅也。
 20世紀末の春、竹本健治と京都の円山公園で見世物小屋を見物した思い出話を枕に語っています。
 江戸川乱歩の小説のパロディのような体験だった、と書かれています。
 翌月、竹本健治は弘前で同じ見世物小屋を見たそうです。
 見世物小屋は現在の日本では絶滅寸前となっていますが、20世紀末のこの頃でも既にほとんどなくなっていたのではないでしょうか。貴重なものを見られたようですね。
 私も後学のために一度は見ておきたかった。
 この解説で山口氏は乱歩による探偵小説の七分類を引用しています。

  
 乱歩が理想としていたのは
一、犯罪推理の純粋探偵小説(ドイル、クリスティ、ヴァン・ダインの如し)
であったが、本作『蜘蛛男』は
一、犯人又は探偵を主人公とする通俗怪奇冒険小説(ルブラン、ウォーレス、ルキュー、オッペンハイムの如し)
ということになるだろう、と山口氏。その後乱歩のフェティシズムと幼児性について論じています。

   
 ところで、乱歩の分類に
一、「意外」のスリルを主眼とするドンデン返し小説(ビーストンの如し)
という一分野があります。
 ビーストンは今ではほとんど忘れられていますが、乱歩の時代には分類に一つのジャンルが当てられるほど読まれていたんですね。
 
  
■[日々の冒険]運命の階段 L・J・ビーストン TOMOコミックス
  http://d.hatena.ne.jp/nazegaku/20180515/p1

  
  [wikipedia:蜘蛛男]

odd_hatchの読書ノート
 江戸川乱歩「蜘蛛男」(創元推理文庫)
  http://d.hatena.ne.jp/odd_hatch/20160805/1470344802
日がな一日、読書にふける
 江戸川乱歩著 蜘蛛男
  http://booklovers8888.seesaa.net/article/357533764.html
アメジローの超硬派的書評ブログ
 江戸川乱歩 礼讚(4)「蜘蛛男」
  http://blog.livedoor.jp/kuni674/archives/3199372.html
乱歩の世界 蜘蛛男
  http://rampo-world.com/syosetu/tyohen/kumootoko.htm
非常に適当な本と映画のページ
 江戸川乱歩全集第三巻「蜘蛛男」
  https://plaza.rakuten.co.jp/hontoeiganopage/diary/200611280015/
no mystery, no life
 江戸川乱歩:蜘蛛男
  https://ameblo.jp/mystery-love-mystery/entry-11934817974.html

 
少年少女・ネタバレ談話室(ネタばらし注意!)
【屋根裏の散歩者】天井裏から毒薬/【芋虫】幽体離脱
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タグ:江戸川乱歩
posted by SF Kid at 16:10| Comment(0) | TrackBack(0) | 探偵小説
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