2019年02月10日

毒入りチョコレート事件 ネタバレ検討会


  毒入りチョコレート事件【新版】 (創元推理文庫)
  
  
 ベンディックス夫人が毒入りチョコレートを食べて死亡した事件について、シェリンガム氏が組織した「犯罪研究会」の6名が推理合戦を行う。
 一つの事件でも立場によって色々な見方・解釈があるものです。
 しかし、毒が入っていてまずいチョコレートを7個も食べたベンディックス夫人の食い意地にはあきれます。旦那のように2個でやめとけば助かったかもしれないのに。
 食欲はほどほどにしておくものですね。
  
 犯罪研究会の各々のメンバーの丁々発止のやり取りが楽しい。
 いわばオタクの集まりだから、みんなが自分が一番だと思っているのでしょう。
 
 ところで、ブラッドレー氏は犯人候補を2名挙げています。そのうちの一人は“自分”という、ふざけた推理。
 そしてもう一人の名前は公表していません。
 これは一体誰だったのでしょうか。
 会長であるシェリンガム氏は知っておく必要があると言ってシェリンガム氏にメモを渡し、シェリンガム氏はこの人ではないだろう、と否定します。
 もしかしてブラッドレー氏が名を伏せて犯人だと推理した人物は、ダマーズさん?それとも全く別の人物?
  
 自信と自己顕示欲の多い連中の中でもその両巨頭がダマーズさんとチタウィック氏でしょう。
 会長のシェリンガム氏の推理にメンバーが納得して、これから警察に報告に行こうと盛り上がっている時に空気を読まずに「ちょっと待て」と水を差すダマーズさん。
 本作品では真犯人が明らかにされていませんが、ダマーズさんが真犯人だとほのめかされています。
 ダマーズさんが否定せずにいわば逃げたような行動を取っているところから、恐らくそうではないかと私も思います。
(しかしその後、新たに別の犯人を推理する方もおられるようです。すごい!)
で、もし私が真犯人だったとしたら、怖くてとても会に出られたもんじゃありません。
 で、シェリンガム氏が見当違いの犯人を推理して他のメンバーが納得しているのなら、私も喜んで賛成しているはずです。
 そこをあえて水を差して自分の推理を主張するとは、ダマーズさんはものすごい自信家であり自己顕示欲の強い人です。
 さらにもっとあつかましくて空気を読まないのがチタウィック氏です。
 このチタウィック氏、著名なメンバーの中で一人だけ無名の一市民で謙虚そうだと思っていたら、一番図々しい曲者だった。
 自分の参加する犯罪研究会のメンバーが名推理を披露して一同賛成し、これから警察に報告に行こうと盛り上がっている時に「ちょっと待て」と水を差すチタウィック氏。
 しかも内容を検討すると、会のメンバーであるダマーズさんを告発する推理。
 ダマーズさんと会に対する裏切り行為ではないですか。
 自分の推理の正しさを主張するためには会のメンバーですら遠慮なく犯人扱い!
 食うか食われるかの推理バトルです。
 この人たち、本当は仲悪いんじゃないでしょうか。
 
 なお、本作品はポプラ社から児童向け翻訳が出ています。
 タイトルは『毒いりチョコレート事件 』。
“毒”が漢字で「いり」が平仮名になっているとは、どんな基準なのでしょうか?
 しかし児童向きにこの作品を翻訳とは渋い選定です。
 しかし、ミステリーファン開拓のためには非常に素晴らしい選定だと思います。
 忙しくて読書時間が取れない大人にとっても、この膨大な原作を簡潔に読めるのはありがたい存在です。
 私はまずこのポプラ社文庫版で流れをつかみ、その後で創元推理文庫の旧訳版(高橋泰邦訳)を流し読みしました。
 流し読みでも1週間かかったのだから、最初から完訳版を全部読んでいたら1か月かかっても読み終えられなかったかもしれません。
 ポプラ社文庫からはその他にも色々とミステリーの翻訳が出ているようなので、今後はこの方式で読んでいこうと思います。
  
ありさとの蔵
 ポプラ社文庫(区分なし) 推理・怪奇 リスト
  http://alisato.web2.jp/book/list/popula_1.htm
   

   
  [wikipedia:毒入りチョコレート事件]
  [wikipedia:アントニー・バークリー]
  
黄金の羊毛亭
 毒入りチョコレート事件/ネタバレ感想
  http://www5a.biglobe.ne.jp/~sakatam/book/chocolates.html
本棚の中の骸骨 書斎の死体
『毒入りチョコレート事件』 論 あるいはミステリの読み方について 真田啓介
  http://www.green.dti.ne.jp/ed-fuji/X01-poisonedchoco.htm
  
アントニー・バークリー「毒入りチョコレート事件」ネタバレ考察。 - 道楽人日乗
  https://blog.goo.ne.jp/h-ryojin/e/b79693ed5050c0c14540c4b18f19e4c2
蜥蜴蜉蝣 −とかげろう−
 アントニイ・バークリー『毒入りチョコレート事件』
  http://blog.livedoor.jp/yotsuya151/archives/19976786.html
サカムケをむくような。
 アントニイ・バークリー氏「毒入りチョコレート事件」読了。
  https://blogs.yahoo.co.jp/asyu_ist/39620712.html
  
「ミステリの祭典」ミステリの採点&書評サイト
  http://saiten.dip.jp/mystery/main/list_review/1138
金沢ミステリ倶楽部 毒入りチョコレート事件
  http://onair-blog.jp/KMysteryC/entry/195798.html
21世紀バークリー問答 - Togetter
  https://togetter.com/li/658463
  
【推理合戦】おすすめの「多重解決」ミステリー小説20選|300books
  https://300books.net/tajukaiketsu-osusume/

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posted by SF Kid at 15:16| Comment(1) | TrackBack(0) | 探偵小説
この記事へのコメント
“密室推理劇『キサラギ』2007年 佐藤祐市監督 古沢良太脚本”
   https://diletanto.hateblo.jp/entry/2019/03/09/151322
↑TB代わりのコメントです。
Posted by 市井學人 at 2019年03月09日 19:44
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